ハンコってそんなに重要?

弁護士 中井陽一

2014年07月14日 07:48

 重要な契約書はもちろん,それ以外の日常の書面でも,ハンコを押す機会って多いですよね。
 海外ではサインだけなのに,なぜそんなにハンコが必要なんでしょうか?

 実は,法律的には,サインのみの場合よりも,ハンコがある方が,万が一裁判になったときには大きな意味があります。
 裁判では,その書面が,本当に本人が自分の意思で作成したものなのか,それとも偽造なのかが争われることがあります。その際に,民法228条では,「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と規定されています。
 この条文だけをみると,本人のサインかハンコのどちらかがあれば,本人の書面と推定されるので,サインだけでもいいということになります。

 もっとも,昭和39年5月12日最高裁判決では,私文書に押されている印影が本人の印鑑によるものと認められるときは、特に反証がない限り,その印影は本人に意思に基づき押印されたと事実上推定される,と判示されています。
 つまり,サインだけの場合,筆跡鑑定等によって,本人のサインであることを証明しなければなりませんが,ハンコの場合,本人のハンコであることを証明すれば,本人の書面と推定されるのです。ハンコであれば,鑑定などをしなくても,違うハンコかどうかはわかりますよね。その人が作った他の書面のハンコと比べればいいわけです。
 また,実印であれば,印鑑証明書によって,本人のハンコであることが立証可能です。

 というわけで,日本の法律のもとでは,本人のハンコってやっぱり重要なんですよね。
 後に争いになる可能性があるような場合には,やっぱりサインだけで無く,ハンコも欲しいところですね


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