弁護士と違って裁判官は守られていて表に出てこない?

弁護士 中井陽一

2022年08月29日 10:04

弁護士や裁判所職員のツイッターアカウントの間で、
「窓口対応が困難なクレーマーや相手方当事者から電話があったり来訪してきたときに、法律事務所の場合には弁護士が直接対応し、むしろ事務員に対応をさせないが、裁判所の場合には裁判官は絶対に対応せず、書記官や事務員などの事務方が対応に終始する。」
というような話が話題になっていました。中には、「裁判官は守られてていいよね」と言っている弁護士もいました。
確かに、裁判所では、裁判官がいる部屋は庁舎案内図にも記載されず、当事者が裁判官の部屋へ行ったり電話をすることもできず、困難な対応は全て事務方で完了させますが、なぜ法律事務所とこのような真逆の違いが生まれるのでしょうか。




1.組織なのか、個人事業なのか
まず、地方の町弁(町医者的弁護士)の事務所は、ほぼ弁護士が営む個人商店であり、弁護士が事業を行うために事務員を雇っているという携帯です。弁護士が複数名いる場合でも、個人事業主が名を連ねているだけのことが多く、組織というほどのものではないことが多いです。

ですので、弁護士からすれば、自分の商店の構成員である事務員を守るのも仕事ですし、また、困難な当事者対応が嫌で事務員が辞めたりメンタルを損なうと、自分の事業に大きな影響が生じますから、弁護士自身が対応することが多いんです。もちろん、弁護士は交渉やクレーム対応も本来的業務の一つであるからというのも理由の一つです。

他方で、裁判所は組織ですので、裁判官が事務方を雇っているわけではありません。あくまで職務の違いであって、当事者対応は事務方の仕事だからこそ、むしろ裁判官がそこに割って入ることはないのだと思います。

また、詳しくは知りませんが、裁判所は組織だからこそ、対応が困難な当事者が出たときの対処やルールについても、たとえばどこからは複数で対応するとか、どのようなときは警察に連絡をするとか、きっちりと決まっているのではないかなあと思います。

2.裁判官は中立公正な判断権者
裁判官は、弁護士と異なり、中立公正な立場で最終判断を下す職務を行います。
したがって、法廷以外の場で当事者と面会したり連絡を取ったりすると、他方当事者から不公正ではないかと疑われるおそれがあります。
また、裁判官に直接文句を言いにいけば判決が変わるかも、と思われてしまうと、裁判の公正が害されてしまいます。
ですので、裁判官は法廷以外で当事者と対応しないのでしょう。

他方で、弁護士はあくまで一方当事者の代理人ですので、公正さのために表に出ない、などという必要はありません。


裁判官または弁護士が上記のような対応をとることは、筆者の中でごく当たり前のことだったのですが、いざなんで全然違うのと指摘されると、確かに全く異なりますよね。
こういう記事を読むと、司法試験受験生の中には、「対応困難なクレーマー等の対応をしなくていいなら、弁護士よりも裁判官の方がいいかな」と思う人がいるのかもしれませんね


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