AI裁判官が登場する?

弁護士 中井陽一

2024年08月01日 11:06

今後2,3年のうちに民事事件の全判決がデータベース化されると報道されました。
現在は、民事事件のうち判決として公開されるのはごく数%程度ですが、今後は全ての判決がデータベース化されます。
そうすると、もはやそれらの判決データをAIが機械学習すれば、何かトラブルが起きたときもAI裁判官が結論を出すことができ、民事裁判の件数が劇的に減りそうな気もするのですがどうなんでしょうか?



確かに、全ての判決がデータベース化されると便利ですし、紛争解決の予測可能性が高まります。
しかしながら、判決のデータがたくさん集まったからと言って、実際の生の紛争についてAIが瞬時に判断できるということはほとんど無いと思います。

民事裁判の判決文は、一般的な事件ですと10数ページ程度のことが多いですが、実際の裁判では各当事者からの主張書面や証拠書類が数百ページくらい提出されていることもよくあります。
しかもそれは、生の事実や紛争経過ではなく、弁護士が法的な観点から主張を整理し、それに対して弁護士が法的な観点から反論し・・・という積み重ねでそれくらいの量になるわけです。

その上で、一つ一つの証拠の評価や、法廷での証言の信用性なども踏まえて裁判官は総合的に判断をしているわけですが、その判断過程や思考過程について判決文に詳細に記載されるわけではありません。

結局のところ、裁判のデータベースが充実しても、「このような請求でこのような点が争点になった場合、こういう勝訴例もあるし、こういう敗訴例もある」ということがわかるだけで、弁護士や裁判官がいなくても、AI裁判官が結論を導き出してくれるということにはなかなかならないだろうと思います


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