勝てない事案ってどんな事案?

弁護士 中井陽一

2015年05月22日 07:50

 「どの弁護士に相談に行っても断られるんです!」という話を聞くことがたまにあります。
 たいていの場合、断られる理由は、勝てない事案だからということが多いです。勝訴の見込みが無いのに、やみくもに請求や裁判をしても、依頼者の満足につながりませんし、弁護士費用がかかるだけですので、弁護士としてはなかなか受けられません。
 では、勝てない事案とは、どういう事案なんでしょうか?

①主張が法律的に通らない
 たとえば、「交際していたときに、彼女に合計100万円くらいおごったりプレゼントをあげた。ところが、いきなり別れを言われた。いままでおごった分である100万円を返して欲しい」というような相談がこれにあたります。

 気持ち的には全くわからないとまでは言えないかもしれません。しかし、法律的には、貸金では無く贈与にあたりますから、今さら「返せ」というのは法律的に通りません。

②証拠が無い
 たとえば、「1万円貸したのに、返してくれません。現金手渡しで貸しました。借用書もありません。相手は受け取ったことも否定しています。」というような相談がこれにあたります。

 法律的には、貸したお金は返してもらう必要があります。しかし、本当に貸したかどうか、証拠が無いと立証できない可能性が高いわけです。もちろん、状況証拠や証言によって立証できるケースもあるかもしれませんが、めぼしい証拠がないとなれば、相手が否定している以上、裁判をしても勝訴の見込みが無いということになります。

③回収可能性が無い
 たとえば、「100万円貸したのに、返してくれません。借用書もあります。ただ、相手は無職で、財産がありません。」というような相談がこれにあたります。

 法律的に主張は通りますし、証拠もあるので、裁判をすれば勝訴できるでしょう。しかし、相手に全く財産が無ければ、勝訴判決が出ても、差し押さえる財産が無いので、結局取りっぱぐれるというケースは少なくありません。
 相談者からすれば、「どこかから借りてでも返せ!」という気持ちになるでしょうけれども、無理矢理借りさせることはできませんし、そのような無職で財産の無い人に貸す業者もほとんど無いでしょう。


 弁護士としては、法律相談の際に、上の①、②、③を念頭に、ご依頼をお引き受けすることができるかどうかを検討しているわけです。
 残念ながら、①、②、③のいずれかに該当すると、弁護士としてはなかなかお引き受けすることができません。そのため、お断りさせて頂くいこともあるのですが、「だったら泣き寝入りですか!」と言われてしまうこともあり、そのときが弁護士としては非常に辛いんですよね


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