司法修習不要論

弁護士 中井陽一

2017年12月04日 09:07

 司法試験に合格した後、弁護士・裁判官・検察官になるためには、約1年間の司法修習を受けなければなりません。
 ところで、「司法修習なんて制度、いらないんじゃないの?」という話があるって知っていますか?



 このような声は、特に司法修習生に対する給費生が廃止されて以降の司法修習生からチラホラ出ているようです。ツイッターなどで、匿名の司法修習生が、修習の期間が無駄だから早く終わって欲しいとか、何のためにやっているのかわからない、とつぶやいたりしているようなんですよね。

 このような、司法修習不要論の要因としては、次の2つが多いようです。

①自分は企業法務を中心にやるので、刑事弁護や検察修習なんて無駄。
 民事弁護も、裁判所に立つことはほとんどないので、ほとんど役に立たない。

②せっかく司法試験に合格したんだから、早く社会人(法律実務家)になって稼ぎたい。
 給料が出ない司法修習の期間は無駄。


 筆者は、司法修習は必要だと思っているのですが、まず、①については、企業内弁護士(インハウスロイヤー)であろうと、企業法務専門の弁護士であろうと、司法修習期間中に学ぶ実務の基礎は、法律を扱う仕事に就く以上、必ず役に立つと思います。

 企業法務で契約書のチェックをするにあたっても、民事事件で裁判官がどのような要件を求めているのか、どのような証拠が重視されるのかを理解しておくことは非常に重要です。また、刑事事件についても、たとえば従業員が逮捕されたという相談を企業の社長から受けた際に、顧問弁護士として、今後の見通しはきっちりと説明できないといけないでしょう。
 そういう意味では、法律実務家になる以上、司法修習が役に立たないということはないと思います。

 他方で、②については、確かになかなか反論しにくいところではあるんですよね。筆者のころは、十分な給料が国から出ていましたし。
 ただそれでもやはり、一流の裁判官・検察官・弁護士が教官として指導をしてくれたり、さらに実務修習でも最前線で働く法律家が指導をしてくれるなんて、よく考えると贅沢な話だと思うんです。だって、これまでの学校や塾では、こちらが授業料を払わなければならなかったわけですから。
 
 人生の中でみるとわずか1年間ですから、足踏みだと思わずに、司法修習からたくさんのことを学び取って欲しいなあと思います


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