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「弁護士が勝てると言っている」という話は信用できない?

2020年11月16日

 法律相談、特に離婚相談などの際に、相談者の方が、「夫が、『弁護士に相談したが絶対に勝てると言われた』と言っているんです」と不安になられていることがよくあります。
 実は、弁護士から見ると、相手が言う「弁護士が勝てると言っている」という話は全くアテにならず、不安になる必要は全くないって知っていますか?



「弁護士が勝てると言っている」という話がアテにならないのは、以下のような理由からです。離婚事件で相手が夫の場合を想定しています。

①正しい前提事実で弁護士が判断しているとは限らない
 本当に弁護士が夫に「勝てる」と言っていたとしても、その弁護士は夫から聞き取った事実だけを前提にアドバイスしています。自分に不都合なことや不利なことは言わない人は多いです。
 妻側からの話も聞けば、弁護士のアドバイス内容は当然変わる可能性があります。

②条件付で「勝てる」と言っているのに、条件がないかのように言ってくる
 弁護士が、無条件で「勝てる」というケースは案外少ないです。たとえば、「きっちりとした証拠が確保できれば勝てますね」とか、「お子さんもお父さんが親権者であることを望めば勝てるでしょう」など、何らかの条件付で勝てるというアドバイスをすることはよくあります。
 ところが、夫が妻に話をするときには、条件の部分がすっ飛んでいて、ただ単に「弁護士は勝てると言った」と話しているというケースがよくあります。

③そもそも、弁護士がそう言っていないかもしれない
 そもそも、夫が妻に直接「弁護士が勝てると言っている」という時点で、夫は弁護士に正式依頼していないことがほとんどです(正式依頼後は弁護士が窓口になり、当事者同士が直接やりとりをすることはまずないため)。ですので、本当に弁護士が「勝てる」と言っていたのかどうか、妻からすれば確認のしようがなく、夫の嘘である可能性も否定できません。
 実際に、弁護士からすれば、「いや、これを勝てるという弁護士なんていないだろ」と感じることはよくあります。

④短時間の無料法律相談の場合の信用性
 本来はあってはならないことなんですが、市役所等の無料法律相談などでは、相談時間が非常に短く、連続して多くの方の相談をお聞きしなければならない上、弁護士はその後も引き続きその相談者の案件を担当する可能性が低いので、アドバイスがどうしても抽象的になったり、あやふやになったりしがちです。
特に、離婚相談の場合、今後の勝てる見込みをしっかりと判断しようと思うと、30分では短すぎるんです。にもかかわらず、相談終了間際に、「先生、勝てるんでしょう?」と迫ってこられた場合に、「無理」とか「わからない」というと相談者の不満が高まるため、「まあどうでしょうね。勝てる可能性はあるんじゃないですか」というように、弁護士としても嘘にならない範囲で当たり障りのないお茶を濁した回答をするケースがあるように思われます。
 それなのに、夫としては、「弁護士は勝てるといった」と意気揚々と言ってくるケースもあると思います。

 結局、相手が「弁護士が勝てると言っている」ということを言ってきても、何ら不安になる必要はありません。不安ならば自分自身で弁護士に法律相談に行き、弁護士にアドバイスや見通しを聞くのが一番ですねkao_13


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タグ :弁護士


Posted by 弁護士 中井陽一 at 10:09

録音・録画を裁判官は見てくれるの?

2020年11月12日

 民事裁判において、録音や録画の証拠を提出したいと場面はありうると思います。たとえば、相手が口頭で責任を認めたことを録音したボイスレコーダーやデータを裁判所に証拠として提出したいとき、どうやって裁判所に提出するのでしょうか?



 裁判官は、同時に100件を超える裁判を抱えていることもあり、たとえば長時間の録音・録画のデータを提出しても、じっくり聞いている時間がありません。
ではどうするのかというと、録音データを提出したいときは、録音データを収録したCDなどとともに、文字起こし(録音反訳)をした書面を証拠として提出します。

 基本的に裁判官は、録音データを聞くのではなく、文字起こしした書面を見ます。証拠は裁判の相手方にも副本を送付するので、もし文字起こしの内容に間違いがあるという場合には、相手方が指摘することになります。
相手方から指摘があり、文字起こしが正確なのかどうかに争いがある場合には、裁判官は録音データを聞いて確認しますが、文字起こしに争いがない場合には、文字起こしの書面を前提に裁判官は判断をすることがほとんどだと思われるんですよね。

 ちなみに、録画の場合にも同様で、長時間の録画を見てもらえる可能性は低いので、重要な場面のキャプチャと説明文をつけた書面を録画データともに提出します。

 実際のところ、提出した録音や録画データを果たして裁判官が直接見聞きしたのかどうかは、教えてくれるわけではないので、何ともわかりません。ただ、文字起こしの書面や、キャプチャ&説明文の書面は必ずと言っていいほど要求されますし、裁判官の多忙さからすれば、実際に生データを見聞きしているケースは少ないんでしょうねkao_16


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Posted by 弁護士 中井陽一 at 13:23 裁判

会長声明は会長の本心ではない?

2020年11月02日

 各都道府県の弁護士会は、法律問題等に関して、「会長声明」を発表することがよくあります。
 会長名で、色々な理屈とともに、「●●の制度に反対する」などと発表されるのですが、実は会長声明って、会長の本心とは異なることもあるって知っていますか?



 「会長声明」という名称ですが、会長が独断で出せるものではありません。
 むしろ、筆者の知る範囲では、会長が自ら発案して声明を出そうとするケースは稀です。

 会長声明を出すきっかけとしては、
①日弁連からの「こういう方向で動いてね」という働きかけがあった。
②弁護士会の各種委員会から「こういう会長声明を出してくれ」という要望があがってきた。
のいずれかであることが多いです。

 特に②のケースの場合、仮に会長の個人的な心情や本心とは異なっていたとしても、会長の独断で委員からの要望を却下することはあまりありません。まずは執行部(会長・副会長)で議論し、そこでさらに検討すべきとなると常議員会(弁護士会の重要な事項を検討する会議。滋賀では構成員9名)の審議にかけて、可決されれば会長声明として発出されることになります。

 仮に会長自身がその内容に疑問を持っていたとしても、常議員会で可決されれば会長名で発出されます。もちろん、会長が常議員会に議題として提出しなければよいのですが、各種委員会から要望が出ているのに、会長の独断でもみ消すというのはなかなか難しいでしょう。

 ですので、会長声明という名前ですが、実は会長の本心ではない、ということもたまにあるんですよね。

 ちなみに、会長声明では、「当会はこれに反対する」というような書きぶりのことが多いのですが、たいていの会長声明はあくまで常議員会の審議で決まり、弁護士全員が参加できる「総会」の審議を経ていないことが多いです。
 したがって、「当会は・・・」と書いてあっても、全ての会員が賛成しているわけではなく、むしろ大多数の会員は、会長声明が発出されたというFAXをみて、はじめて内容を知ることが多いんですよねkao_16

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Posted by 弁護士 中井陽一 at 08:57 弁護士雑談 副会長の仕事