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「物」に関する裁判って難しい?

2020年10月16日

 民事裁判の多くは、お金の請求か、不動産がらみの請求(登記手続など)です。
 それに対して、「物」(動産)に関する裁判ってあまり多くないのですが、実は物に関する裁判は難しいことが多いって知っていますか?

「物」に関する裁判って難しい?

 物に関するトラブルというと、たとえば「同棲していた彼氏が出て行くときに、私の指輪を勝手に持って行ったので返して欲しい」とか、「知人に一時的に荷物を預けていたが、その中にあったはずのアルバムがなくなっている」などが例としてあげられます。
 なぜこれらのトラブルを法的に解決することが難しいのでしょうか。

1.物が存在したことの証明が難しい
 土地や建物などの不動産であれば、所有者等の動きは登記簿に記載されます。また、お金についても、銀行振込であれば、口座に履歴として残ります。

 他方で、物の場合、元々あったのかどうかを立証することが難しいことが多いです。普段からそこにある物について、あることを立証するために写真を撮っている人は少ないでしょう。

 相手が、「私は持って行っていない。最初からなかったのでは」などと反論したときに、元々相手が出ていく直前の時点でそこに指輪があったこと、そして相手が出ていくと同時になくなったこと、を証拠で立証するのは非常に難しいんです。

 ちなみに、お金についても、振込ではなく現金で領収証等がなければ、やはり同じように立証が難しくなります。

2.物の特定が難しい
 不動産の明渡しなどの場合、登記簿に載っている地番や地積などでどこのどの不動産かを特定できます。
 また、金銭の請求の場合には、特に特定をしなくても、「いくら支払え」でOKです。

 他方で、物の引渡しを求める場合、誰がみても他の物と混同することがないように、特定をする必要があります。たとえば指輪だと、メーカー名、材質、色味、石の種類、などになるでしょうか。
 では、写真のアルバムだったらどう特定するのか、ペット(※法律上は物とされます)ならどう特定するのか、ぬいぐるみならどう特定するのか、などと考えると、非常に難しい問題になってきます。

3.物の価値の評価が難しい
 不動産であれば、固定資産評価額や、不動産業者の査定額などで、おおよその価値がわかります。
 他方で、写真のアルバムやぬいぐるみなどといった物だと、仮にそれらを相手方が誤って勝手に処分したとしても、いったいいくら請求できるのか、評価が難しいのです。

 誤って勝手に処分した事例だと、損害賠償額は物の価値=評価額が限度となるのが通常です。でも、写真のアルバムや、使い古したぬいぐるみ(ただし、本人にとっては非常に大事な物)をいくらと評価するのかは非常に難しい上、おそらく評価額は非常に低くなってしまうのでしょうね。


 というわけで、「物」に関する裁判はとっても難しいんです。
 また、評価額が低い以上、弁護士としても弁護士費用が非常に安くなりがちで、正直あまり受けたくないという弁護士が多いのではないでしょうかkao_15



タグ :裁判

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Posted by 弁護士 中井陽一 at 10:04 │ 弁護士の業務 裁判