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死後10年経つと相続に関して争うことが制限されます

2023年02月20日

相続については、「法定相続分」と言って、法律で基本となる相続の割合が示されています。相続人同士が話合いで遺産をどう分けるかを決めるのは自由ですが、話がまとまらず裁判所での争いとなった場合、法定相続割合をベースとして裁判所が遺産分割方法を決めることになります。

相続


しかし、実際には、法定相続割合を修正する制度として、「寄与分」(=被相続人の療養看護などを行った相続人の取り分を多くする制度)や、「特別受益」(=生前贈与などを受けていた相続人の取り分を減らす制度)があり、これらの適用に関して相続人間で揉めて裁判所での争いとなることが多々あります。

ところが、今年、すなわち令和5年4月1日から、原則として死後10年以上経過すると、寄与分や特別受益で争うことができず、法定相続割合どおりに分割されることになりました。

(参考・改正民法904条の3)
第904条の3
前三条の規定(筆者注:特別受益・寄与分)は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
①相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
②相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。


これは相続事件を扱う弁護士からみれば大きな影響を与える改正です。死後10年以上経ったけどまだ遺産相続の話ができていないというケースは結構あり、それなのにいざ分けるということになると、一部の相続人が寄与分や特別受益を主張して揉めるというケースは少なくありません。既に10年以上経っているので、当時の状況が曖昧だったり、証拠が少なくなっていることも多く、調停や審判で揉めに揉めることがあるんです。
これからは、そのような主張をしたいのであれば、10年以内に調停を申し立てるべきということになりますし、それ以上放っておいた案件は法定相続割合で決まるわけですから、早期に解決しやすくなります。

なお、今回の改正は、施行日である令和5年4月1日よりも前に死亡したケースにも適用されるものの、特別受益や寄与分の主張は、①相続開始の時から10年が経過するとき、または、②施行日から5年が経過するときのいずれか「遅い方」までとされていますので、少なくとも令和10年4月1日までは特別受益や寄与分の主張をすることは可能です。

法改正により、相続が発生した場合にはできるだけ早めに遺産分割の話や登記手続をすべしという条文がいくつができています。
遺産相続の話はほったらかしにせず、できるだけ早めに協議をするようにした方がよいですねkao_13


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Posted by 弁護士 中井陽一 at 08:50 │ 弁護士の業務 法律関係